第4章 一年の差 〈黒尾鉄朗〉
そこに――
ヒヤッ
「にょりぇぇ!?」
いきなり頬かひんやり冷たいものが当たって声をあげた。
ク「おまっ…!!人ならざる声出すなよ…。」
振り向くとクロが立っていた。
「だっ…だってビックリしたんだんだもん!…ってジュース?保健の先生は?」
冷たいものの正体はクロが持っていた缶のオレンジジュースだ。
だけど肝心の保健の先生の姿が見えない。
ク「あーなんか保健の先生、今日見回りの当番で校舎歩き回ってるみたいなんだ。
だから代わりに俺が手当てする。」
「えっ!?」
クロは私にジュースを渡すと救急箱を持ってきて私の前に座った。
ク「とりあえずくつ下脱いどけ。」
「ちょ…手当てなんて出来るの?」
ク「たぶん捻挫だろ?湿布貼って包帯巻いとく。だから早く、くつ下脱げって。」
クロは救急箱から湿布と包帯を取り出した。
「う…なんかハズい…。」
ク「あ?そんなこと言ったら手当て出来ねーだろ?」
「わ、わかってるよ」
私は少しためらいながらくつ下を脱いだ。
するとクロは私の痛めた足を持った。
ク「あーやっぱ捻挫だな。腫れてるし。」
そう言って湿布をペタッと貼る。
ひんやりして背筋か少しゾッとした。