第37章 恋の実りは風邪を通して〈花巻貴大〉
*貴大
朱鳥の途切れ途切れの声と握っていたが手がすり抜けるのを感じて振り向くと朱鳥が前に倒れそうになっていたからとっさに受け止めると
朱鳥は苦しそうに息をしながら眠っていた。
俺は朱鳥の背中と膝の後ろに手をまわし持ち上げて急いで朱鳥の家に向かった。
時々すれ違う人に見られていた。
そりゃ朱鳥をお姫様だっこして走っていれば目立つだろうけど今はそんなこと気にしなかった。
朱鳥の家に着いて
インターホンを押した。
だけど返事は無くドアも開かなかった。
ドアノブに手をかけて引いてみたらガジャンと鍵がかかっていた。
それで思い出した。
貴「そうだ…今朱鳥の親どっちも出張だった…。」
(朱鳥も鍵は持ってるだろうけど、どこにしまってるかわかんねーしな…。)
チラッと朱鳥の見ると苦しそうな顔が目にうつる。
早く休ませてやりたくて
向かいの俺の家に連れていった。
俺の親も仕事で家には誰もいなかったけど……。