第32章 俺のものだから〈黒尾鉄朗〉
ク「…じゃそろそろ帰るか…。」
「うん…。」
ク「と…その前に着替えてもいいか?さすがにコレじゃまずいし。」
「あ…ごめんね私のせいで…!」
クロの背中は私を庇ったせいでシャツにジュースのシミが大きく付いていた。
水ならともかく
炭酸のオレンジだから余計目立っていた。
ク「謝んな、朱鳥が悪いわけじゃないだろ?」
「そうだけど……。」
ク「しかし…どこで着替えっかな…。部活で使うTシャツは持ってるけど、部室は鍵閉まってるし、このカッコで鍵取りに職員室行くのもな……。」
「あ…ここ……美術室の鍵ならもってるよ?
私朝イチで来て放課後も最後まで残ってるから。顧問にも許可もらってるし!」
私は鞄から美術室の鍵を出して見せた。
ク「…お前…それって…。」
「ち…違う違う!!
私が自ら進んでそうしてるだけだから!!
少しでもたくさん絵描きたかったいから!!」
私がまたイジメられてると思ったと察して慌てて誤解をといて、美術部の鍵を開けて中に入った。
ク「…まぁそれならいいんだけど……。
じゃここで着替えることにするよ。」
「うん。じゃ
私外で待ってるよ。
ついでに誰も来ないか見張ってる!」
そう思って戸に手をかけたら
グイッと後ろに引き寄せられた。
ク「外にいたら余計怪しまれるだろ?朱鳥も中にいろよ。」
肩口にクロの顔があり、耳元で言われてドキッとした。
「えっ!?」
クロはそのまま美術室を内側から鍵を閉めた。
ク「すぐ終わるから。」
「う…うん。」