第32章 俺のものだから〈黒尾鉄朗〉
クロが着替えた始めて私は目を背けた。
実際、
クロが着替えてるとこなんて、部活を見学しに行ったときに見たことある。
でもそれは
他の部員もいたし、
賑やかな体育館だったから。
ここは他に誰もいないし
静かな美術室。
私は変に緊張した。
チラッとクロを見ると
その姿に私は釘付けになった。
はっきりと浮き出た鎖骨や肩甲骨とか
ほどよくついた筋肉とか
首筋の辺りとか
色っぽくて、大人の雰囲気してて、ドキドキが止まんなかった。
そしたらそれに気づいたクロが
ク「なーに俺に見惚れんの?」
とニヤッと笑った。
「べ…べつに見惚れてなかんか……!!」
ク「うーん?でも顔赤いぞ?」
そう言うとクロは
上半身裸のままこっちに歩み寄る。
「だっ…だからそんなんじゃ…!
ってか服着なよ!!」
ク「照れてる朱鳥見るの楽しいからヤダ☆」
ニヤニヤしたまま私を見る。
クロのよくやるからかっている時の顔。
「っ!!………クロってSだよね…。」
ク「今さら気づいた?」
そんな態度に
ちょっと腹が立って
「…あー…もう!!
そうだよっ!!見惚れてたよ!!
そんな色っぽくて、カッコイイのに見惚れないわけないじゃん!!
……ホント…いざというときに助けてくれるとか…ズルすぎ……。」
腹が立って言ったことだけど、
それは全て本当のこと。
ク「…お前…ホント面白れー!!」
クロはゲラゲラと笑った。
「そっちが言えって言ったんでしょ!?」
ク「あー悪い悪い!」