第32章 俺のものだから〈黒尾鉄朗〉
だけど
私にジュースで濡れた感じはしなかった。ただ、暖かい温もりが私を包んでいた。
顔をあげると
クロが私を庇って抱き締めていた。
女1「うそ……」
女2「黒尾くん…。」
女3「なんで…ここに…?!」
「……クロ…?」
ぎゅっとクロの私を抱き締める手に力が入り、私の顔がクロの胸板に押し付けられた。
ク「お前らいい加減しろよ…!
こいつが何したんだよ?
ただ絵を描いてただけだろ!?」
女123「っ……!!!」
クロの怒鳴る声に言い返せないでいる女子たち。
ク「…こいつは俺のもんだからもう二度と手出すなよ…!?」
女1「っ…い…行こう?」
女2・3「う…うん!!」
何も言い返せないまま女子たちは逃げるように立ち去った。
「ク…クロもう大丈夫。
っていうか苦しい。」
ク「あ、悪い。」
クロの手から力が抜けて私はクロの胸板から顔を離す。
ク「…ったく、なんでイジメられてること今まで俺に言ってくれなかったんだよ?
あと変に言い返すのもやめろよ。」
「…うん…ごめん。心配させたくなくて…。」
ク「まぁ…そうだろうな。夜久たちも言ってたし…。
でも少しは俺のとこ頼ってくれてもいいんじゃねーか?
彼氏なんだから。」
「…うん……!…ありがとうクロ…。」
優しいクロの言葉に少し涙から流れた。