第3章 鈍感な二人 〈西谷夕〉
夕は私を背中に乗せて近くのベンチまで歩いた
私より背は小さいのにすごく背中は大きく感じて安心する。
「うぅ…屈辱…。自分より小さな男子におんぶなんて…。」
夕の背中に乗ったまま私が言う。
夕「お前…落とすぞ!?」
ちょムッとした声で言い返す。
「嘘だよ…本当にありがとう…。夕が来てくれなかったら私……。」
自然と手に力が入る。さっきのことを思い出すと恐怖で言葉が出なくなった。
それを察したのか夕は言った。
夕「安心しろ!!お前は俺がずっと守ってやるから!!
「…え…?ずっと…?」
私は聞き返した。
夕「お前は、鈍感だから知らないかもしれないけどな俺はずっと朱鳥のことが好きだったんだ!好きな奴が困っているのを助けるのは当たり前だろ!!」
少し照れ臭そうに言う。
「嘘…本当に!?」
夕「嘘言うかよ…!それで…お前はどうなんだよ!?」
「私も夕のこと好きだよ。ずっと前から!」
夕「ほ、本当かっ!?」
「うん!!私達両思いだったんだね!!」
嬉しくて笑いながら涙を流した。