第3章 鈍感な二人 〈西谷夕〉
「ちょっと早く来すぎたかな。」
待ち合わせの時間より十分ほど早く来すぎた。
そこに…。
[ねー君一人?]
大学生ぐらいの二人組の男子が私の前に現れた。
「えっ!?」
[俺らと遊ぼうよ!!]
[楽しいとこ連れててあげるからさ!]
いきなり腕を掴まれグイッと引っ張られる。
「ちょ…やめ…。」
人見知りの私にとってこういうのは本当に苦手で怖かった。
ほんのり涙が流れる私の顔を見て。男子が言う。
[そんな怖がらなくていいから]
[ほらこっちに来なって!!]
怖さのあまり声が出なくただ、強く思った。
(っ…誰か…助けて……夕!!)
その時…。
夕「おい!!お前ら朱鳥から離れろ!!」
男子等の後ろに夕の姿があった。
「夕…。」
男子は夕を見ると私の腕を放し夕をからかうように言い出した。
[あ?なんだよお前?]
[背ちっさ!!弟くんですか?]
夕「弟じゃねー!!つーかいいから離れろって!!」
夕は怒鳴った。
[ハイハイわかりましたよ小さな彼氏。]
[チッ…男いるならはじめから言えっての!]
男子等は諦めたのか文句を言いながらどこかへ行った。
ホッとした私はガクンと座り込んだ。
夕は私に近寄って目線の高さを合わせると心配そうに言った。
夕「朱鳥、大丈夫か?」
「うん…ありがと。助けてくれて…。ただ…。」
夕「?」
「腰が抜けて立てない…。起こして。」