第3章 鈍感な二人 〈西谷夕〉
放課後―
私は教室で本を読みながら夕が部活を終えるのを待った。
入学して一人で帰るのが心細くて夕を待ったのが始まりで、今ではそれが日課のようになっていた。
先に帰ってもいいんだけど…、夕と少しでも一緒にいたくて自然と待つようになった。
時間を見て鞄を持って玄関に向かう。
ちょうどバレー部の人たちが帰るところで夕も一緒にいた。
「夕!!」
夕「お!!朱鳥!!また待ってたのか!?」
声をかけるとすぐ気づいてくれた。
「いや、待っていた訳じゃないけど…。静かな教室の集中して本読めるから。」
つい嘘をついてしまう。
夕「お前本当、本好きだな!!」
「まぁーね!!」
夕「じゃあ、帰るか!!」
「うん!」
バレー部の人達と別れて帰る。
何気ない会話。それが私にとってすごく好きな時だ。
二人で帰っていると
夕「なあ!!明日空いてるか!?」
「へ?明日?うん…まぁ空いてるけど…。」
夕「マジか!?じゃあ買い物付き合ってくれ!!」
突然の買い物の誘い。
「買い物?」
夕「おう!!バレーの用品とかあと最新刊の漫画とか買いに行きたいんだ!!」
「まぁ…いいけど…。田中くんとかバレー部の人と一緒に行った方がいいんじゃない?私、バレーのことあんまり知らないし、」
夕「アイツ明日は用があって行けないみたいなんだよ!他の奴も用事があるだとよ。」
「ふーんまぁ…いいけど…。」
夕「本当か!?じゃあ明日駅に10時集合な!!」
その時私はふと思う。
(……ん!?これってデートってことになるの!?……いや…付き合ってもないしただの付き添い…なのに……ヤバい…何か緊張してきた。)