第3章 鈍感な二人 〈西谷夕〉
*朱鳥
最近の悩み……それは誰もが夕のことを私に聞いてくること。
例えば…
教室での出来事。
男[なー黒羽!西谷知らねー?]
クラスの男子が友人と話している私にそう聞いてきた。
「なんで私が夕の居場所知ってることになってるの?知らないよ、トイレにでも行ってるんじゃないの!?」
その後夕は本当にトイレにいたとか。まぁたまたまだけど。
また廊下で―
先[おー黒羽、悪いが西谷に勉強教えてやってくれないか?]
担任の教師に呼び止めれた。
「なんで私が?」
さすがに教師に変な言い方は出来ない。
先[だって、お前西谷と仲いいだろ?]
「いや…別にただの幼馴染みなんですけど…。」
そしてさらには―
澤「おー!!いたいた、黒羽!」
廊下を歩いていると階段を降りてくる澤村さんに声をかけられる。
「あ、どうも。」
夕がいないとちょっと緊張した。
澤「悪いが、これを西谷に渡してもらえないか?」
渡されたのは今月の部活のスケジュールのプリント。
「あの…なんで私なんですか?バレー部なら田中くんに渡したほうが…。」
澤「あーそれでもいいんだが、黒羽の方か確実だと思ってな!ダメか?」
先輩に頼まれて断るわけにはいかなく…
「いえ…わかりました。」
了承した。
「もう!!なんで皆夕のこと私に聞いたり頼んだりするの!?
昼休みに屋上で友人と弁当を食べながら愚痴った。
友[まぁー朱鳥が西谷のことを一番知ってるのは事実なんだから。]
相談に乗る気もない友人。
「だから!!それは幼馴染みだから!!」
友[いや…違うでしょ…?朱鳥、西谷のとこ好きだからつい気になって詳しくなったなんでしょ?]
スマホをいじりながらいう。
でも確実に私の心を読んでいる。
それが少し怖い。
「なっ…そ…それは!!」
私は友人の言葉に顔を赤らめてた。
友[本当わかりやすい。さっさと告っちゃえばいいのに。]
(うぅ……そんなこと言ったってあんなに鈍感だと告ろうにも告れないっていうか………。あーなんで夕なんか好きになったんだろう。)