第28章 恋愛ごっこ 〈花巻貴大〉
「…もう……"フリ"とか"ごっこ"じゃない本当の恋人になりたいっ……貴大と付き合いたいよぉ………!!」
恥ずかしさともう戻れないという後悔で貴大の顔を見ることが出来ない。
貴「朱鳥…。」
名前を言われたけど怖くて顔が上げられない。
貴「……こっち向けって朱鳥…!」
ぐっと顔を無理矢理上げられるといきなりキスされた。
私はびっくりして固まってしまった。
貴「俺も朱鳥のこと好きだよ。
あのカフェで店員に俺らが恋人に見られたのが嬉しくてつい"恋人のフリをしよう"なんて言ったけど、それをきっかけに自分の気持ちをちゃんと伝えようと思ってた。
けど時間がたつにつれ…恋人のフリが定着して言うタイミング逃してた。
だけどそれがこんなに朱鳥を苦しめてたなんて知らなくて…ゴメンな。
だから今ちゃんと言う。
俺は
朱鳥が好きなんだ。
だから
俺と付き合ってください。」
その
優しい笑顔と言葉に今までにない涙が流れた。
「…う…うん……もちろん…。」
貴「…結局泣くのかよ…。」
クスッと笑って貴大は私を抱き締めた。
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