第28章 恋愛ごっこ 〈花巻貴大〉
貴「じゃ、そういうことなんで。」
と貴大は私の手を引いて
その場を後にした。
その後ろから
男1「なんだよ本当に男いたのかよ」
貴2「チッ…丁度いい遊び相手かと思ったのによー」
と声がした。
さっきの場所から離れた少し狭い路地裏まで着くと足を止めた。
貴「……まぁここまで来れば大丈夫だろ?
ったくもうすぐ部活終わるころに"先帰る"なんて連絡来たから何かあったのかと思ったわ。つーかこの辺ああいうのたまにうろついてるから気を付けろよ………って朱鳥……?」
私の顔を見るなり貴大は驚いた顔をした。
それはきっと私の目には涙が溢れ出していたから。
あの不良の男子達が怖かったのもある。
貴大が助けてくれて嬉しかったのもあった。
だけど何より……。
「……こ…これも……恋人のフリ………?」
貴「……え……?」
「……もう……イヤだよ……恋人のフリとか……恋愛ごっことか……。」
貴大がさっき助けたときの"俺のだから"はいつもの恋人のフリのこと。
それを考えると今までずっと溜め込んできた気持ちが溢れだして涙が止まらなかった。
貴「……ごめん…。そうだよな……、好きでもない奴と恋人のフリとか嫌だよな……?」
…あぁ…やっぱり
わかってない……。
「違うっ……そうじゃなくて……私は……私は貴大が好きなの……!!」
本当はわかってた。
恋人のフリなんてするずっと前から私は貴大が好きだってこと。
だけどそれを言ってしまったら今の関係が壊れてしまう気がしまってずっと自分に嘘をついていた。