第28章 恋愛ごっこ 〈花巻貴大〉
しだいに貴大と
一緒にいるのが辛くて切なくなってきたある日のことだった。
貴「今日ちょっと寄りたいとこあるんだけど部活終わるまで待っててもらえる?」
「う…うんいいよ。部活終わったら連絡して?」
貴「オーケー!」
貴大とそう約束して図書室で本を読みながらしばらく時間を潰していたけど本の内容が頭に入ってこない。
こんな気持ちで貴大に会えない…
そう思い私は
『ごめん。やっぱ先に帰るね』
とメールをして私は学校を出た。
「はぁ…何してんだろ…私。」
ため息をしながらとぼとぼと通学路を歩いた。
そしたら
男1「なーにタメ息してんの?!!」
その声に顔を上げると3人の男子が目の前に現れた。
しかも制服はだらしないしピアスをしている。
私と年の変わらない学生ぽいのにタバコの臭いがした。
チャラくて不良で
恐怖と気持ち悪さしか感じなかった。
「い…いやなんでもないです…。」
避けて行こうとしたら
男子達はまた私の前を塞いだ。
男2「ちょ避けないでよ〜」
男3「そんな顔してんだから何かあるんだろ?」
男2「もしかして彼氏とケンカした!?」
男1「それともフラれたとか!!」
男3「お前らそれひでーって!!」
ヘラヘラ笑う男子の言葉は事実ではないのに私の心に突き刺さって涙がじんわりと出てきた。
男2「うわっ!?マジでそうなの!?」
男3「お前本人に向かって可哀想だろ!!」
男1「でもさ彼氏にフラれたなら俺らと遊ぼーよ!?」
男2「俺らの方がずっと楽しいからさ!!」
男3「たいじょーぶ金は俺らが出すから!!」
彼らのすべてが怖くて手足が震えてうつ向く。
誰か助けてって思って横目で周りを見てもみんな見て見ぬふりをして歩き去る。
彼らの手がぬっと
私に触れようとしたとき。
「悪い、こいつ俺のだから手出さないでくれる?」
ぐっと後ろから抱き締められた。
振り向くと
そこにいたは――――
貴大だった。