第24章 たとえ君がいなくなっても 〈山口忠〉
「私はね5年前までは普通に人だったんだ。君と同じバレー部で高3の春高の県予選を目前にしてたの。高校最後の大会だから部活以外に私は1人この公園で練習してた。
予選はなんとか勝ち進み決勝まで行ったんだ。
そしてその決勝前日、いつも通りここで練習をして帰ろうとしたときだった…公園の階段を降りてすぐの交差点で私は交通事故にあって死んじゃったの。
原因は運転手の居眠り運転だったみたい。まぁそこはどうでもいいんだけど。
私は決勝に出られなかったし、もっとバレーがしたかったという悔いが残ったせいで成仏出来なかったの。
この公園の地縛霊になったのは、たぶんこの公園に思い出と一緒にもし、ここに行かなければ死ぬことはなかったからだと思う。
ゴメンね騙してて。」
優しく笑う彼女の笑顔には少し悲しみも見えた気がした。
山「え………あ……いや。」
彼女の話を聞いて思い出した。
5年前、近くで交通事故があって、新聞にも小さくだが記事が載っていた。その記事と一緒に亡くなった女子高生の写真もあった。
それは今の姿と変わらない朱鳥の写真……。
「……もう、そんな顔しないで?」
死んでしまった彼女のことを思うと、どうしていいかわからなかった。
気を使ってる彼女を見ると尚更……。
高校最後の試合にも出られず、しかも大好きなバレーも突然できなくなった彼女の悲しみはきっと俺には想像がつかないほど辛いものだと思う。
山「た…だって…。」
「…車が来てるのに気づかなかった私も悪かったんだよ。…
それにね…もう大丈夫だよ」
彼女はスッと立ち上がる。
それとほぼ同時に彼女の体が光だした。
山「え…」