第21章 ズルい…―。 〈月島蛍〉
「待って!!自分の足で歩くから!!」
そう言われ僕は足を止めた。
「もうすぐ歩けなくなるなら、せめてまだ少し歩ける今は自分の足で歩きたいの…。」
朱鳥は苦しそうな顔をしながら、弱々しい足で精一杯の力で地面を踏みしめ少しずつ歩いた。
やっとのことで僕の前まで来ると朱鳥は手を伸ばした。
僕はその手を掴むとその途端、
力尽きて前に倒れ込んだ。
僕は慌てて朱鳥を抱き抱えた。
朱鳥は僕の腕の中で泣いていた。
「私…蛍が羨ましい…。
背も高くて頭もよくて………普通に学校に行ってさ部活して……。…………ズルいよ………蛍ばっかズルい…。私も普通に学校行きたいのに…。部活だってやりたい……。」
僕の腕の中でずっとため込んでいた思いを泣きながら言った。
蛍「…朱鳥…」
「…ごめんね…蛍にあたっちゃって…。死なないだけましだよね…。でも…それでも思うんだ…。なんで…なんで私なの…?
こんなに…今まで頑張って来たのに…もう歩けないなんて……そんなのないよ…!」
今まで見たことないぐらい辛そうに泣き出す朱鳥を僕はただ抱き締めること支が出来なかった。