第21章 ズルい…―。 〈月島蛍〉
*蛍
病室に着いてドアを開けた。
蛍「朱鳥、来たよ。」
「あ…蛍…。」
蛍「?」
気のせいだろうか少し元気がないような…。
「ねぇ…屋上連れてって?」
外はだいぶ寒くなっていたし、一瞬断ろうかと思った…。だけどいつもと違う無理に作っている笑顔を見て断れなかった。
蛍「……まぁいいけど…。ちゃんと上着着なよ?」
「うん…ありがとう」
朱鳥を背中に背負い
屋上への階段を上っていた。
蛍「なんか元気ないね?」
「………。」
そう聞くと一瞬黙り混んでから少し笑って答えた。
「……あのね蛍…。私…もうすぐ歩けなくなるんだって…。」
僕の制服と一緒に朱鳥が手のひらを握りしめた。
蛍「…え…。」
「昨日担当の先生に言われたの…。これ以上治療やリハビリをしても次期に自力で歩けなくなるって…。」
朱鳥はそれから僕の背中に顔を埋めて口を閉ざした。
僕はなんて声をかけていいかわからなかった。
屋上に着くと雪がゆっくりと降っていた。
「あ…雪…。」
朱鳥は顔を上げるとそう呟いた。
「……ねぇ…そこのベンチに座らせて?」
言われた通り朱鳥をベンチに座らせると今度は真っ正面にある一本の桜の木を指差した。
「じゃあ蛍はあそこの木の前に立って?。」
僕が桜の木まで来て振り向くとフラついた足で何の支えのないなか立ち上がった。
蛍「ちょっと!朱鳥何して…」
「自力で…蛍のとこまで歩いてみたくて…。」
そう言った途端朱鳥が転びそうになり僕は駆け寄ろうとした。