第21章 ズルい…―。 〈月島蛍〉
あれから半年後の4月。
朱鳥はもう歩けなくなっていた。
今では車椅子での移動が日常生活になっている。
「あ!!蛍!!」
病室の都を開けると笑顔で朱鳥が言う。
歩けなくなった時は相当落ち込んで笑う顔も作り笑いしが出来なかった。
でも最近はだいぶ落ち着いて前向きになった。
「ねぇ…屋上行こ?」
朱鳥は時々屋上に行きたがる。
いつも病室にいるから屋上から空を見ると気持ちいいらしい。
毎度のように朱鳥を背負い階段を上る。
扉を開けると
「うわ…!!桜だぁ…!!キレイ…!」
桜の木が満開に咲いていて風に揺られ舞うように散っていた。
そしてあのベンチに朱鳥を座らせその隣に僕は座った。
「やっぱ気持ちいいね!ここ!!
それにしてもだれが考えたんだろうね病院の屋上に桜の木植えるとか。」
蛍「そうだね。」
「蛍…あのね…蛍にお願いがあるんだ…。
ずっとこれからも一緒にいってくれる…?これからも私の支えになってくれる…?」
少し不安そうに言う朱鳥気づいた。
時間がたって笑うようになってもやっぱり歩けなくなったのは辛くて誰かに支えを求めているんだと…。
蛍「何を今さら………。」
僕は朱鳥に優しくキスをした。
蛍「僕はずっと前から朱鳥のそばにいるって決めてるんだけど?」
そう言って朱鳥を抱き締めるた。
「……うん……ありがとう…蛍。」
-ズルい…ー。-
END