第18章 龍球女子と排球男子 〈及川徹〉
*朱鳥
意味がわからなかった。
プリクラ撮ってる途中で呼ばれたから振り向いたら
そしたら
キスされた。
頭が真っ白になった。
もちろんキスなんて
初めてだ。
先輩が
「俺…朱鳥とこ本気で好きになった。」
なんて言ってたけど
その時は
そんなこと考えられなかった。
「すいません……。俺…もう…帰ります。失礼します…!!」
なんて言っていいかわからず、その場を逃げる化のように荷物を持ってプリクラの中からを出た。
彼は追いかけて来なかった。
慣れないハイヒールで走りにくい中、ショッピングモールを出ると雨が降っていた。
それでも気にせず走った。
パニクった頭を冷ますために
ザァーザァーと降る雨の中を
無我夢中に走った。
走って走って
家に着くと自分の部屋のベッドに顔を埋めた。
ハァーハァーと息を吐きながらさっきのことを思いだし顔が熱くなった。
そしてなぜか
少し涙が流れた。