第18章 龍球女子と排球男子 〈及川徹〉
及「とりあえず行こうか?」
そう言うと俺の手を引いて駅前のショッピングモールに入った。
「ちょ…どこ行くんッスか及川さん!?俺何も聞いてないッスけど!?」
及「はいダメー!!俺のことは"徹先輩"だし、ちゃんと"私"って言わないと!!あと"ッス"も女の子らしくないから禁止!」
いきなり振り向き注意された。
「……うぅ…。あの、わ…私、何も聞いてないですけどどこ行くんですか徹先輩?」
渋々言い直すと
ニコと笑って答えた。
及「まずはその男子ぽい朱鳥を女の子らしくするために洋服見に行くんだよ!」
「え……いやそんないいッス…いいですよ。わ、私はこれで。」
普段言い慣れてないしゃべり方でぎこちなく言う。
及「俺がそうしたいんだからいいの。」
(自分優先か…。)
彼はそう言うと手を離すことなく前に進んだ。
店に着くと彼は勝手に
服を選んで俺に渡した。
及「はい、とりあえずこれ着てみて!」
渡されたのは黄色い花柄のワンピと白いレースジレベスト、パールネックレス、それとピンクのハイヒール。
言われるがままに俺は試着室で着た。
「(はぁ……こんなの小さいとき以来だ…。)
あの…一応着ましたんですけど…。」
試着室のカーテンを開けると先輩が立っていてパァアと笑顔を見せた。
及「うん!!やっぱ似合ってるね!!カワイイ!!それ俺が買ってあげるよ!!」
「……いやいい…で…す。そんな。それにこれ私の…好みじゃないので…。」
及「いいからいいから!!俺がこれ着た朱鳥といたいんだから!!」
そう言うと店員を呼んで、事情を話、会計を済ませた。
俺はそのままの服で彼に手を引かれて店を出た。
(うぅ…恥ずかしい…。)
スカートとか制服のとき以外はかないし、それにこんな、いかにも女子ぽい服…自分には似合わないと思ってたから恥ずかしかった。
及「…。朱鳥どっかでご飯食べようか!!」
気を使ってくれたのか、それともたんに自分が腹へったのかそう切り出した。