第18章 龍球女子と排球男子 〈及川徹〉
しばらくしてこの騒ぎは治まり…片付けも終わり俺は帰ろうと体育館を出た。
あまり人とつるむのが好きじゃない俺は今日もひとりで帰っていた。
ヘッドホンで音楽を聴き校門まで行くとなぜかあの先輩がいた。
一瞬足を止めたが、何も見なかったかのように通り過ぎようとした
……がそうはいかなかった。
及「あ!!ちょっとちょっと朱鳥ちゃん!!」
ヘッドホンをしていてもその声は耳に届き振り向いた。
「何ですか及川さん。」
及「何ですかなんてヒドイな〜!!せっかく朱鳥ちゃんとこ待ってたのに!!」
「誰も待っててなんて頼んでいません。それと、その"朱鳥ちゃん"って呼び方やめてください。」
及「え〜なんで?女の子なんだからちゃん付けは普通でしょ」
「俺はそう呼ばれることはほとんどないから慣れてないです。普通に黒羽でいいですよ。」
ヘラヘラ話す先輩に
若干イラ付きを覚えながら答えた。
及「そういれば部活見学してた子達も"君"とか"先輩"って呼んでたね。嫌じゃないの?」
「昔からそうでしたし、もう慣れました。もっと言えばこの外見も言葉遣いされコンプレックスなんて俺は思ってません。」
及「本当男子みたいだね!」
「はい、だから学校一モテる及川さんが俺を待っている理由がわらないです。俺よりもう少しすれば他の部員が来ると思うのでそっちと帰ってください。彼女たちも喜びますよきっと。」
及「ふーん。でも俺は朱鳥ちゃんが気になるんだ。
とりあえず
今日は諦めるから今度の日曜デートしてよ!!」
「…。…人の話聞いてました?俺はそういう……「じゃ日曜日の10時に駅前でね!!」ってちょっと……!」
彼は俺の話も聞かずさっさと帰ってしまった。