第13章 ずっとこれからも…。 〈菅原孝支〉
孝「(やっぱりいた…。)おい、朱鳥!こんなとこでなにしてんだよ。」
朱鳥のそばに近寄ると朱鳥が顔をあげる。
その目には涙が……。
孝「!!…おま…どうしたんだよ…?」
そう言えと
「っ……孝支っ!!!」
朱鳥が俺の胸に抱きついてきた。
だけど顔を上げないで俺のジャージを強く握っている。
孝「……どうしたんだよ?朱鳥…。」
優しく背中を擦って落ち着かせようとした。
すばらくして口を開く。
「……孝支………何で…あんなこと言ったの……?」
顔をあげないままそう言った。
孝「…?」
「今までずっと頑張ってきたのに……やっと…出られるのに…。何で、自分より影山を選ぶべきなんて言ったの…!!?」
孝「…さっきの話聞いてたんだ。」
朱鳥は黙って頷く。
孝「……朱鳥……それは……。」
俺が言おうとすると
「わかってる…わかってるよ…。試合に勝つためには影山の方が戦力になるからでしょ?……わかってるよ三年間マネージャーやってたんだからそんなことわかってる……。でもなんで自分からあんな………。言わなくてもいいのに…。」
辛そうに朱鳥が続けた。
「…やっと…先輩が卒業して…東峰も西谷も戻ってきて…これからスタメンで出られるはずったのに…。
孝ちゃん…頑張ってきたのに…自主練もしてみんなとの信頼も築いてきたのに…なんで…!?……こんなの…嫌だよ。」
朱鳥はずっと俺のことを応援してきた。
自主練も朱鳥は付き合ってくれていた。
だからそう思うのもわかる。
孝「ありがとう。朱鳥。俺の為に泣いてくれて。
でも別に諦めてないから。
俺は正セッターになれないかもしれない。
でも試合に出ることは諦めてない。
なにかハプニングとか穴埋めじゃなくてもちゃんと出られるようにこれからも頑張っていくつもり。
だから朱鳥……
また自主練付き合ってくれないか?」