第12章 叶わぬ恋でも…。 〈月島蛍〉
*朱鳥
再び目を覚ますと白い天井が最初に見えた。
ボーとした頭で記憶を思い出そうとした。
「………そうだ…………私、科学の授業中に倒れて………それで……。」
「気が付いたか?」
そう言われ首を横に向けた。
「…け…い……飛雄くん…。」
そこには飛雄くんが座っていた。
いつもの癖か、つい蛍ちゃんの名前を呼ぼうとしてしまった。
飛「ったく、寝不足とカゼだってよ。気を付けろよ…。」
「…うん…ごめん…。
飛雄くんがここまで運んでくれたの?」
飛「あぁ。」
「そ…かぁ…。ありがとうね。」
ぼんやりだが一度目を覚ましたのを覚えてる。
あの時も私は蛍ちゃんと勘違いしていた。
それはきっと――
「…飛雄くん…あ…あのね、昨日のことなんだけど…。」
飛「あぁ。」
私は勇気を振り絞って言った。
「私ね………やっぱり…飛雄くんは大切な幼なじみとしか思えない…。…好きだって言われたのは嬉しかったけど…でも……ごめんなさい……。
…それに私……好きな人いるの……。…おかしいって思うかもしれないけど、私…蛍ちゃんが好き…。」
罪悪感と
これでもう元の関係に戻れないという恐怖を感じながらいると
飛「……やっぱり…な。」
「へ…?」
それは意外な言葉だった。
飛「朱鳥をここまで運んでくるまで何度もあいつ名前を呼んでたから…。」
「そう…だったの?…ごめん…。」
飛「別に謝らなくていい。
それに…俺の方こそ昨日は強い言い方して悪かった…。」
「…ううん…。大丈夫。」
飛「…じゃあ…そろそろ俺行くから……。」
そう言って飛雄くんが立ったときベッドを囲んでいたカーテンが開いた。
そこには蛍ちゃんの姿があった。