第10章 兄と妹と幼馴染み 〈月島蛍/影山飛雄〉
それから…飛雄くんと目を合わせることも話すことも出来なくなった。どんな顔をすればいいかわからなかったからだ。
その日の部活でも私は飛雄くんを避けていた。
当然それは飛雄くんも気づいてて、何度か声をかけられたが私は目を合わさず流すように答えた。
部活が終わり先に変える準備を終えた私は蛍ちゃんを待つために校舎の前で待った。
ジャリッ
と音がして私は蛍ちゃんかと思い振り向いた。
だけどそこにいたのは飛雄くんだった。
「……!!」
私は思わず逃げようとしたけど手首を捕まれた。
「おい!!…何さっきから避けてんだよ!?」
強い力で引っ張られ体は自然と飛雄くんの方を向く。
その強い力と言葉に余計目を合わせることが出来ず目を反らす。
「…は…放して…手…痛い…。」
飛「俺の質問に答えろって!!」
「…!!」
少し怒鳴るような言葉遣いに驚いて飛雄くんの顔を見る。
すごく…怖く見えた。
そのせいか私の目から涙がこぼれた。
飛「…!!。……わりぃ…ちょっと強く言い過ぎた…けど…(パン!)…!!?」
飛雄くんが言いかけたとき私の手首を掴んでいた飛雄の手を叩いて飛雄の手から私は放れた。
それは蛍ちゃんだった。
「…蛍ちゃん…。」
蛍ちゃんは私を飛雄くんから離して自分の影に隠すように私の前に立った。
蛍「…何朱鳥とこいじめてんの王様?」
飛「別に…いじめてねぇーよ!!ただ俺は…!」
とそこに
田「なんだなんだ!?どうした?」
そこに他のバレー部の皆がやって来た。
大「またもめてんのかお前ら?」
東「ケンカは良くないからやめような!!」
先輩たちが止めにかかると蛍ちゃんは何事もなかったように
蛍「別に…ケンカじゃないです。」って答えた。
飛「…。」
飛雄くんも黙ったまま。
大「そうか?そうは見えなかったが…。」
日「あれ?朱鳥泣いてんの!?」
日向くんに私が涙を拭いているのを見られて言われた。
「え……いや…えーっと…目…目にごみが入っただけ…!」
慌てて咄嗟に思い付いた嘘をつく。
日「…?そう?」
蛍「とにかく、何でもないんで、僕ら先に帰ります。お疲れ様でした。」
蛍ちゃんは私の手を引いて歩き出す。
後から
山「待ってよツッキー!朱鳥!!」
と山口くんがやって来た。