第4章 想い袋 白昼夢
「何か、原因でもわかってきた?」
「そうだな。ある程度は、見当がついた。だが焦っても仕方ないことだ、根気も必要になる。また、明日改めて治療法の話をしよう。今日は話疲れてしまったろう、休んだほうがいい。無理は、するな」
「ギンコが、そういうのなら」
話はそうして、区切られることとなる。眠る準備を済ませ、囲炉裏の火が消え静寂と闇、そして微かな雨音だけが家屋内を満たしていく。ギンコの瞳は、闇夜でも問題なく見えてしまう為目を開けて囲炉裏を挟んで近くで寝ている纏の方へと、視線を向けた。
凛子は、ただ瞳を閉じていた。その瞼が、開かれてこちらを見ることはない。ギンコも習うように再び目を閉じた。
知ってしまった凛子の過去、失ったのは心だけではないことを知り、ギンコは昔を思い出していた。
――不幸の巡り合わせにしちゃ、あんまりだよな。
失った瞳と、過去の自分。それでも、けして希望がないわけではなかったし悲観はしなかった。
「なあ、凛子。俺はきっと、お前の心を取り戻してみせるよ」
ぴくりと、凛子の瞼が反応を見せた気がした。