第2章 想い袋 昼下がり
「んっ……」
僅かに瞼を照らす、眩しい光。ゆっくりと目を開ければ、ギンコの美しい緑色の瞳が太陽を映し込んだ。同時に、意識を手放す前に握っていたはずの少女が何処にもいないことに気付く。
「凛子っ!!?」
慌てて起き上れば、静かに障子の戸が開けられた。
「ギンコ? どうした。そんなに、慌てて」
「……あ、いや。なんでも、ない」
――離れた手が、寂しいだなんてな……。
思わず、ギンコは嘲笑する。握っていた方の手を、じっと見つめてぎゅっと握り拳を作った。凛子が首を傾げているのに気付いて、ギンコは彼女に微笑んだ。
「そうだ。お腹すいてない? ご飯、作ったから。よければ食べて」
「お、いいね。是非」
戸の向こう側へ、ギンコもつられるように向かう。囲炉裏の周りに、囲むように美味しそうな食事が既に並べられ、準備されていた。暖かいお味噌汁、ふっくら炊きあがっている白米、食欲をそそる煮物は色鮮やかで、ギンコはお腹が鳴るのを感じて苦笑いを浮かべる。