第1章 雪夜
「…えー最後は鉢屋三郎、雪永杏ペアだな。ペアの発表は以上!」
「鉢屋…?ねぇ、鉢屋って誰?」
「鉢屋先輩、知らないの?ほら!五年ろ組の変装名人って言われてる!」
ペアに指定されたのは知らない先輩だった。
ユキちゃんが指差す先には同じ顔の人が二人立っていた。
「へぇーどっち……は?二人⁉︎何で⁉︎」
「鉢屋先輩はいつも同じ五年ろ組の不破雷蔵先輩に変装してるの。…杏ってほんっと男子に興味ないのね。」
「へぇ…」
ほんとそっくりだなぁなんて呑気に見ていたら鉢屋先輩、いや不破先輩かもしれない。まぁ、どちらかがやって来た。
「お前が雪永杏か?」
「あ、はい!えっと…」
「私は鉢屋三郎だ。」
「鉢屋先輩、今日はよろしくお願いします。」
頭を下げてチラリと鉢屋先輩を見た。鉢屋先輩はにこりとも笑わない。
ちょっと怖そうな先輩なんだけど…。
「杏。先に言っておくが、」
鉢屋先輩は急に真面目な顔をすると
「私はこの実習、一切参加する気はない。」
「あ、はい……はいいい⁉︎い、いやいやいや!そんな事していいわけないでしょう⁉︎」
私が声を荒げるとうるさかったのか鬱陶しそうに眉を寄せる。そして馬鹿にしたように笑った。
「こんな面倒な実習、参加する必要がどこにあるんだ。」
怖いとか思っちゃったけど。…何この腹立つ先輩!!
忍者になる為の実習に決まってんじゃん!
「どうした?私が参加しないとお前はこの実習がこなせないのか?」
鉢屋先輩が嫌味っぽく笑う。
ブチッと音がしたんじゃないか、そう思える程ムカついた。
「そんなわけないじゃないですか!ええ、いいですよ!鉢屋先輩なんていなくても合格してみせます!」
ほんっとに腹立つ!!
絶対合格して見返してやるんだから!!