第5章 君を呼ぶ
「良かった 男子の2回戦まだやってる!」
客席に着くと、男子バレー部は伊達工業と試合中だった。
「すごい伊達工に勝ってる…!」
伊達工業。鉄壁のようなブロックで有名なトコだ。
「来いやあぁぁあ!!」
オレンジ色の髪をした小さい子が、大きな声を上げてネットに突っ込んでいく。
あ……田中の言ってた小さいけどすごい子って、この子かも。
で、あれが………。
しなやかなフォームでボールを扱う、黒髪の長身セッター。
「北第の“コート上の王様”、影山飛雄……!」
動きでわかる。他の人とは才能が違う。
………で、誰にあげる…?
ボールを目で…追うことはできなかった。
影山飛雄の手にボールが触れた瞬間、ボールはものすごい速度であげられ、気付けば相手側のコートにボールが叩きつけられていた。
「……………………は?」
今の、誰が打ったの?
「っしゃあぁぁあ!」
嬉しそうに叫ぶのは、あの小さなオレンジ色の髪の子。
「……まさかあんなちっちゃい子が打ったの?」
え、なんかちょっと色々理解できない。そんなこと可能なの?
うーん、と思っていると、いつだったか田中との会話を思い出した。
『あ、そういえば3対3どうだった?』
『おー…良い感じ…………どころじゃないな。』
『え……トラブルでも起きた?』
『いや、むしろ逆。
影山とちびの日向が試合中に速攻使えるようになってさぁー。
しかも打ち合わせとか練習なしで!
いやぁーあれは焦ったわー。』
『え……?どういうこと?』
『あーまーわかんねえよな。
今度軽く男バレ覗いてみろよ。びっくりするから!』
あれってこういうことだったのか……!