第5章 君を呼ぶ
ため息がでる。
どうして初戦があんな強豪校なのか理解できない。
何よりも道宮先輩が泣いていたのは一番驚いた。
試合が終わった後、笑顔で皆の背中を叩いていたのに、影でこっそり泣く道宮先輩を、たまたま見つけてしまった。
そのときはとっさに隠れてしまった。
きっと皆に秘密で泣いているんだろうから、マネージャーの私なんかが声をかけると、気を遣わせてしまう。
道宮先輩の震える背中を思い出して、またもため息が出た。
「宮口!どうしたどうした~!」
「! 道宮先輩……!」
「……烏野、男子まだ残ってるらしいよ。」
「!」
「ほら、応援いこ。
気になるカレもいるんでしょ?」
「~~~~っ!?
えっ!?なんでっ……!?」
「ふふ、顔真っ赤にしちゃって!
ほら、応援したげよ!」
……道宮先輩には、色々驚かされる。
さっきまで泣いていたのに、今はそんなこと微塵も思わせない笑顔だった。
そしてなぜ私が男バレに好きな人がいることを知っているのか。
……道宮先輩、感服です。
私は道宮先輩の後を追って走った。