第3章 発熱反応
「お疲れ様でしたー。」
部活が終わって、私も帰ろうとしていた。
「あ……。」
第二体育館を出て、第一体育館を通る。
残って自主練している人は多いな…。
私は少し覗くと、田中がスパイクを打っているのが目に入った。
勢いはあるけど、コースを狙いすぎてか、少しアウトした。
「ちっ!」
田中は舌打ちをした。
本人は気付いてないだろうけど、そういうときの、熱くなった顔、別人だよ。
いつもはただの馬鹿みたいな田中だけど、本人が無意識的に集中しているときは、顔の迫力が全然違う。
やっぱ、良いよね、スポーツでああやって熱くなれる人って。
私はちょっと頬が赤くなるのを感じた。
田中が熱くなってるのを見ると、私も熱くなる。
発熱の連鎖だね。
第3章 発熱反応(完)