第3章 発熱反応
ただいまお昼休み。
私は理沙にどうやって今の彼氏と付き合うようになったか聞き出している。
「なんなの利歩?
好きな人でもできたの?」
「…まぁ、そういうことなんだけど。」
「えっ!?誰?」
理沙は好奇心旺盛な瞳で見つめてくる。
「……田中。」
「田中?同じクラスの?」
「違う、そっちじゃなくて…、バレー部の。」
私がそう言った途端、理沙はぐんぐんヨーグルを吹き出しかけてむせた。
「げほっげほっ…たな、か?田中、龍之介?」
「大丈夫理沙?」
「あんたこそ、大丈夫?
前まで田中のこと、うるさくて苦手って言ってたじゃん。」
「そうだけど……。
でも、あいつ、良いやつだもん。」
「まぁ、良いやつじゃなかったら好きにならないでしょ。」
落ち着きを取り戻した理沙は冷静に突っ込んだ。
「で、理沙はどうやって付き合うことになったの?」
「どうやって?えぇ…どうやって、と言われましても……。
私は、チャンスがある度アプローチしてたよ。
そしたら、向こうから告白された、って感じかな。」
「…アプローチ…。」
「ま、頑張んな?相手、手強そうじゃない。
だって田中って女心わからなそうじゃん。」
「…それは、言えてるかも。」
私はため息をついて苦笑した。
☆★☆★☆
チャンスがある度、と言われてもなぁ……。
私はお昼休みの理沙の言葉を思い出してため息が出た。
チャンスがそもそもないんだよね…まぁ、男バレでレギュラーやってる田中と、女バレでマネやってる私では、そもそも接点がないのが当たり前だ。
じゃあ、チャンスは自分で作るしかない。
……っていうのはわかってるんだけど、何をしたら良いかわからない。
片思いって、こんなもどかしいっけ?
私はまたもため息をついてしまった。
「大丈夫?利歩ちゃん、疲れてない?」
道宮先輩が声をかけてくれた。
…って今は片付けの最中だった!早く終わらさないと。
「あああ、ぼーっとしてすいません!
全然大丈夫ですよ!すぐ片付けますね!」
私は早口でまくし立ててボールを運んだ。
なにやってんだ、私!
部活に私情を持ち込むな!
私は心の中で自分を叱咤した。