第1章 プロローグ
ここまではいい
俺もあいつの印象はかなり良かったし
あいつならこの弱点にも何も言わないと思っていた
その考えが甘かった
結局
最後まであいつと目を合わせないで別れるとこだった
あいつは笑顔で
俺は視線を外し挨拶して別れる
…はずだった
あいつは俺との距離をぐっと縮めて
にっこり笑った
こっちは慌て過ぎて
挙動不審なんてレベルではない
そしてあいつは笑顔を崩さずこう言った
「緊張してるのはわかるけど、いつまで目合わせない気?話す時、聞く時は人の目見るのが常識でしょ!!」
と、今までの笑顔が嘘のように怒った
俺の頬を思い切りつねって―
これが俺とあいつの出会い
俺が鮮明に覚えているわけ
当時 鳳 莉緒 13歳
現在 笠松 莉緒 16歳