イケメン王宮◆ユーリ×プリンセスの物語【R18あり】
第13章 崇拝
どれくらいの時間がたっただろうか。
夜の廊下はひんやりしていて
ユーリの指先も冷たくなっていた。
サラの部屋の前にしゃがみ込んだまま
繰り返される自問自答。
自分がここに戻ったのは
ゼノの為。
ゼノが自分のすべて。
いくらでも命を捧げられる。
自分がここに戻ったのは
サラから離れる為。
傍にいれば
我慢出来ないほど
自分のものにしたいという
衝動に駆られる。
ゼノはサラを選んだ。
愛しているかは分からないが
深い考えがあるのだろう。
サラは…
ゼノを愛しているのだろうか?
純粋なサラの事だ。
愛のない婚姻など、するはずがない。
自分が足元にも及ばない程の方…
サラが好きにならないはずがない。
あれから随分経つ。
もう、自分の事を好きだと言ったことは
忘れてしまっただろう。
だが
このまま傍にいて
気持ちを隠し通せる自信がない。
サラが欲しい。
シュタインを出る?
ゼノの元を離れる事は出来ない。
ゼノは自分の全てだから…。
サラがここに来ると決まった時から
分かっていたはずなのに
いざ目の当たりにすると
自分ではどうしようもないくらい
心が乱れる。
どうすればいい?
どうすれば…
ユーリは
冷静さを失っていく。
ユーリはゆらりと立ち上がると
ゼノの部屋目指し、長い廊下を歩き出した。