イケメン王宮◆ユーリ×プリンセスの物語【R18あり】
第13章 崇拝
コンコン。
静寂が包む廊下に品の良いノックの音が響く。
「失礼します、ゼノ様」
ユーリは、ゼノの返事も聞かずに扉を開き
部屋に足を踏み入れた。
もちろん
そんなに失礼な事、これまでにしたことはない。
扉を閉め
部屋を見渡すと
想像していた光景が広がっていた。
「ユっ…ユーリ!?」
咄嗟に身を翻そうとするサラの手首を
ゼノが掴み、制した。
ベッドの上
サラは…
ゼノの上に跨ったまま
顔を赤くして
俯いた。
情事はすでに終わったのか
かろうじて
服は着ていたが…。
「…どうした?」
ゼノはいつもと変わらない
冷静な声色でユーリに問う。
ユーリは
拳を握り
唇を噛み締めながら
深々と頭を下げた。
「ゼノ様…。
ゼノ様は俺の全てです。
いくらでも命を捧げられる、
その気持ちは何一つ変わっていません。
ですが…」
ユーリは頭を上げ
ゼノを真っ直ぐ見つめて言った。
「サラ様だけは
譲れません」
「え…?」
その言葉を聞いて
サラの鼓動は大きく跳ねた。
(どういう意味?)
ユーリはツカツカとベッドに近づき
サラの腕を引いて
ゼノから引き離した。
ゼノは何も言わず、
深い瞳でユーリを見ている。
「申し訳ありません…」
ユーリはもう一度深々と頭を下げてから、
サラの手を引いて
ゼノの部屋を後にした。
二人が出ていくと
ゼノはふっと笑った。