イケメン王宮◆ユーリ×プリンセスの物語【R18あり】
第13章 崇拝
ユーリは湯上りのサラの為に
さっぱりとした
柑橘系のフレーバーアイスティーを用意して
サラの部屋に訪れた。
扉の前に立ち、一呼吸おいて
緊張気味にノックをする……
が
部屋から返事がない。
(…?バスルームは出たはずなのに…?)
そっと扉を開ける…が
部屋にサラの姿はなかった。
(今日シュタインに来たばかりで
行くところなんてないはずなのに…)
不安が頭を過る…。
と、
廊下の向こうから足音が聞こえ
振り返ると
アルバートが怪訝な顔で立っていた。
「アル。
どうしたの?」
アルバートは眉間に皺を寄せて告げた。
「プリンセスは部屋へは戻らない」
「え?」
「ゼノ様のところだ」
ユーリは大きく目を見開き
言葉を詰まらせた。
鼓動がどくどくと脈打ち
身体から血の気が引いていくのが分かった。
「どうした?」
ユーリはゆっくり俯くと
にっこりと口の端を持ち上げて言う。
「…そうなんだ。
これ、無駄になっちゃったな。
アル、飲む?」
「…貴様の淹れた物など要らん」
アルバートは不機嫌そうにその場を立ち去った。
ユーリは部屋の扉を閉め
壁にもたれてしゃがみ込んだ。
(分かってたはず…なのに…)
カラン…と
ワゴンに乗ったフレーバーティの氷が解ける音がした。