イケメン王宮◆ユーリ×プリンセスの物語【R18あり】
第12章 再会
案内されたのは
上品な調度品に
ふんわりとした優しい色のラグやカーテンで統一された
女性が好みそうな部屋だった。
ユーリはサラを部屋へ通すと
「…何かあったら、呼んでね」
遠慮がちに言って
すぐに部屋を出ようとした。
「待って、ユーリっ!」
サラは思わずユーリの上着の裾を掴む。
ぴくりと肩を揺らし
脚を止めるユーリ。
(…サラ様…)
サラは
聞きたい事がたくさんあった。
何故、突然去ったのか?
何故、ゼノの側近をしているのか?
何故…何故…
しかし…
ユーリの頑なに心を閉ざしたような瞳。
きっと事情があるに違いない。
ユーリを困らせたくなかった。
サラはなるべく明るい声で
優しく微笑みながら問う。
「その……久しぶりだね、ユーリ
元気にしてた?」
(サラ様、
俺に聞きたい事がたくさんあるはずなのに…
今でも優しいんだね…)
ユーリは胸の奥がぎゅっと締め付けられる。
だが…
「…うん」
ユーリは素っ気なく答えると、
摘まれた上着に気付かない振りをして
部屋を出ていった。
(目も合わせてくれなかった。
もう、本当に忘れなくちゃ…
私は
ウィスタリアの為
ゼノ様と婚姻を結ぶ為に
ここに来たんだから)
サラは窓辺に可愛らしい椅子を見つけると
そこに座って頬杖をつき、
窓の外を眺めた。
綺麗に列をなす鱗雲が
紅とも紫とも青とも
区別の付かない色に染まっていく。
昼と夜を彷徨うこの空の色と同じように
自分の心が彷徨っている気がした。
一方
部屋を出たユーリは
深く息を吐く。
「……俺には
ゼノ様がすべてだもの………」
そう零して
サラと同じように
廊下の窓から
昼と夜の間の空を眺めた。