イケメン王宮◆ユーリ×プリンセスの物語【R18あり】
第12章 再会
ゼノの執務室に入ると
サラは緊張の面持ちで
丁寧にお辞儀をした。
「ご無沙汰しております、ゼノ様」
「ウィスタリアのプリンセスか。
この様な場所ですまない。
手が離せなくてな」
サラが頭を上げると
ゼノが上品な口元を微かに
緩ませるのが見えた。
少しだけ気持ちが和む
と同時に
サラの目に
信じられない光景が飛び込んで来た。
「っ!!!」
ゼノの隣には
夢にまで見た
愛しい人
ユーリが立っている。
それも何故か
シュタインの騎士が着る服に身を包んで。
思わずジルを見上げるが
ジルは微笑みを絶やさぬまま
ゼノと話を始めた。
「ご無沙汰しております、ゼノ様。
この度は……」
(ジル…ユーリの事、気付いたはずなのに
顔色一つ変えないなんて…。
まさか、知っていたの?)
サラは、
ゼノとジルの会話が全く耳に入ってこないまま
ただ茫然とユーリを見つめた。
ユーリは真っ直ぐ前を見ていて
全くこちらを見ようとしない。
その顔には全く表情が無く
感情を読み取れそうもなかった。
(何故、ゼノ様の隣に居るの?
何故、ウィスタリアを出て行ったの?
貴方は、本当は……誰なの?)
様々な疑問が
サラの頭の中で
ぐるぐる巡っている。
が
この場で聞くことなど
出来るはずもなく。
「ではサラ様、私はこれで。
失礼致します、ゼノ様」
「えっ?」
ジルは頭を下げるとあっさりと執務室を後にした。
戸惑うサラ。
(ジル、次は、いつ会えるか分からないのに。
これまでのお礼、言えなかった……)
と突然、
ゼノの声が響く。
「部屋へ案内させよう。
…ユーリ」
ゼノがその名を呼ぶと
ユーリが一歩前に出た。
サラの緊張が一気に高まる。
「…っ……!!!」
サラの様子に気付いたゼノが声をかける。
「どうした?」
「あの…この方は…?」
「ユーリ、俺の側近だ
それがどうかしたのか?」
(側近!?)
「い、いえ…」
「ユーリを執事として付ける。
何かあれば言え。出来る限り対処させよう」
(ユーリが私の…執事?)
サラは頭が真っ白になり
目の前で視線を逸らし続けるユーリを
黙って見つめる事しかできなかった。