イケメン王宮◆ユーリ×プリンセスの物語【R18あり】
第1章 恋心
背中から伝わるユーリの温もり、
強い腕の力に鼓動を速めながら、
サラがそっと振り返ろうとしたその時、
「痛っ…」
サラは小さく声をあげた。
「えっ?」
驚いたユーリがはっと我に返り、
ぱっと腕を離し尋ねる。
「どうしたの?」
(強く抱きしめ過ぎちゃったかな?)
「髪が…」
どうやら、ドレスの背中の留め具に
髪が絡まってしまったらしい。
サラは鏡に背を向け、
後ろ手で解こうとする。
が、なかなか手が届かない。
四苦八苦するサラを見つめながら
(ちょっとぐらい頼ってくれても良いのに)
ユーリはいつものようにくすっと笑うと
「解いてあげる。じっとしてて」
そう言って、
留め具と格闘中のサラの指を
そっと剥がした。
「自分で出来るよ」
「うん、でもあんまり時間がないから」
「あっ、そうだった」
少し恥ずかしく思い視線を泳がせると、
鏡に向かって横向きに立つサラと、
その背中の留め具から髪を解こうとする
ユーリの端整な横顔が見えた。
(いつもは女性のメイドさんが手伝ってくれているけど、
ユーリにこんな風に触れられるなんて。
…なんだか恥ずかしい)
そんなサラの様子を横目で見やりながら、
そっと髪を解いていく。
「はい、解けたよ」
「速い!さすがユーリだね、ありがとう。
じゃあ…」
「あ、待って」
行こうとするサラを言葉で制する。
「?」
(忘れ物かな?)