イケメン王宮◆ユーリ×プリンセスの物語【R18あり】
第1章 恋心
ユーリは、
ドレスから覗くサラの背中の素肌に、
ゆっくりと唇を押し当てた。
途端、
体がぴくっと震え、
硬直して動けなくなってしまうサラ。
ピンク色に染まる肌を
琥珀色の瞳を細め、見つめながら、
ユーリもしばらく動かなかった。
静寂に包まれるクローゼットのカーテンを、
そよぐ風がそっと揺らしている。
鏡に映るユーリの横顔はあまりにも綺麗で、
サラは目を離せずにいた。
鼓動は大きく鳴りっぱなしだった。
「ユ、ユーリ?」
しばらくして、
困惑しながら震える声で呼ぶと
「………おまじないだよ」
やっと唇を離したユーリが、
にっこりと微笑むと明るい声で言った。
「今日の晩餐会、上手く行くように」
「え、…あ、うん。あ、ありがとうユーリ」
(びっくりした。
ユーリのこういうところ、本当に心臓に悪いよっ。
でもきっと緊張してるわたしを
勇気づけようとしてくれているんだよね)
いつも通りのユーリの笑顔にほっとしながら、
サラはまだ鳴りやまない胸の前で
両手を握りしめた。
「行こっか。そこまで送るよ」
ユーリはサラの顔を覗き込むと、
「お手をどうぞ、プリンセス」
腰を少しかがめて優雅に手を差し出した。
(ユーリ、王子様みたい)
そう思いながらそっと手を重ね、
サラはユーリにエスコートされながら、
クローゼットを後にする。
「大丈夫だよ。
レッスンだってたくさん積んだんだし、
サラ様らしく堂々と笑っていれば…」
ユーリはサラに優しく言葉をかけながら、
長い廊下を進んで行った。