イケメン王宮◆ユーリ×プリンセスの物語【R18あり】
第8章 円舞
「サラ様?どうしたの?」
ホールの中央へ着くと
ユーリの声が
広いホールにふわっと広がった。
サラははっとして
ユーリを上目遣いで見上げた。
その様子を
ユーリが不思議そうに見下ろしている。
「よろしく…おねがいします」
その小さすぎる声に驚いたのか
ユーリは少し目を見開いてから
またくすりと笑って首を傾げた。
(そんなに顔を赤くして
どうしてそんなに俺を煽るの?)
「しょうがないなぁサラ様は」
ユーリはサラの手を取り
片方は肩の上に乗せさせ
もう片方は手の上に乗せさせた。
ユーリが腰をすっと引き寄せると
二人の距離が一気に縮まった。
サラの胸がとくんと跳ねる。
(ちっ…近いっ///)
こんなに近づくのが久しぶりで
こうやって触れられるのが久しぶりで
身体から湯気が出るかと思うほど
サラの体温は一気に上がった。
それと同時に
なんだか熱いものが込み上げてきて
目頭が熱くなった。
「つかまっててね」
ユーリはお得意の悪戯っぽい笑みを浮かると
靴の裏で軽やかにワルツのリズムを刻んだ。
そして
サラをリードするように腰を更に引き寄せて
流れるようにステップを踏み出した。
(えっ?)
サラはびっくりして
まじまじとユーリの顔を見る。
ユーリの気品ある流麗な動きに
完全にサラがリードされている。
驚きのあまり声も出ない。
(ユーリ、踊れないって言ってたのに……)
ユーリは悪戯っぽい瞳をそのままに
涼しい顔をして
優雅にステップを踏み続ける。
踊り終えるまで
サラはユーリの全てから
目を離すことが出来なかった。