イケメン王宮◆ユーリ×プリンセスの物語【R18あり】
第32章 【禁断の果実】~第9章 秘する~
どのくらいの時間が経っただろう。
サラがゆっくりと瞼を開けた。
(あ……良かった…)
「目、覚めた?」
『ユーリ…!』
声をかけると
サラは、弾かれたようにユーリを見る。
「痛いとこ、ない?」
『う、うん』
(無事で良かった……
それに……)
サラがユーリを見る目には
不安と戸惑いが見て取れた。
(良かった。
まだちゃんと
俺を、嫌いみたい)
ユーリは安堵する。
と同時に急に感じる、脱力感。
(…っ……やばい……意識が…
だめだ…
今、気を失ったら
サラ様が、心配する…)
会話をしながら
何とか意識を繋ごうとする。
が。
途切れてしまいそうな意識…
不意にサラが、優しく笑った。
『やっぱり……ユーリは優しい』
眩しい程のその笑みに
ユーリは困惑する。
(どうして?
……困るんだけど。
ちゃんと俺を……
嫌っておいて…もらわないと…)
ユーリは眉を寄せて、怪訝に声を響かせた。
「やっぱり…サラ様は、おめでたいね。
あんな目に合ったのに…
俺を“優しい”だなんて…
おめでた過ぎてイライラする。
あのまま、
川辺に…棄てて……来れば…
良かっ……た……」
言い切ったあと、
ユーリはとうとう、身体を支え切れなくなり
ずるり……と
床に崩れ落ちた。