• テキストサイズ

イケメン王宮◆ユーリ×プリンセスの物語【R18あり】

第32章 【禁断の果実】~第9章 秘する~


…………。


…………。



はあ、はあ、はあ……


ユーリは、サラを抱いたまま、岸に上がった。
ユーリの計算通り、
雨で増水した川は二人を受け止め
下流まで運んだ。


息が整わないまま
腕の中のサラに呼びかける。


「はあはあ………
大丈夫?サラ様……」


ぐったりとして動かないサラ。


「っ、サラ様!!」


息を…していない。


(そんな!)


ユーリは、その場にサラを横たえると
サラの濡れた顎に手を添えて
唇を開いた。


そして……


唇を重ね
息を吹き込む。


(サラ様、お願い、息をして……!)


唇を離して祈るような思いで様子を見る。
けれど、サラはぐったりしたまま。


ユーリは何度も何度も息を送り込んだ。
恐怖で身体が震える。


(お願い、サラ様!
このまま、目覚めなかったら、俺……っ)


と……
ケホケホッ!


咳と共に、飲み込んでしまった水を吐き出し、
サラが息を吹き返した。


「サラ様っ、サラ様っ?」


ユーリは、必死に呼びかける。


『ユー……リ?』


薄らと目を開け、小さく言葉を零すサラ。
が、そのまま、また眠ってしまった。


今度はしっかりと、息をしている。


ユーリはほっとして、身体から力が抜けた。


(サラ様……よかった……
もう、あんな思い、二度としたくなかったから…)


思い出すだけで、恐怖と絶望感で震えそうになる。


ユーリは再びサラを抱いて
歩き始めた。



/ 268ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp