イケメン王宮◆ユーリ×プリンセスの物語【R18あり】
第32章 【禁断の果実】~第9章 秘する~
(っ!)
傷みが走り、斬られた腕を抑える。
と、
サラが、声を震わせながら、
ユーリを見上げる。
『ユーリっ!!どうして…!?』
(サラ様……良かった。無事で…)
血が流れたからか、
一瞬、くらり…とするユーリ。
ユーリは、サラを抱きしめる。
強く、強く。
雨の匂いに混じって香る、
サラの甘い香り。
自分の腕の中にすっぽりと納まる、
華奢で柔らかな身体。
(危険だけど…………他に方法がない)
「サラ様……ごめん」
ユーリはそう囁くと、
タンっ……
地面を蹴って
崖の下、谷間へと
身を投げた。
サラはユーリの腕の中で
息を飲み
きゅっ、っとユーリにしがみつく。
(ああ……ヤバい…)
どうしようもなく満たされる……
腕の中のサラが
自分にしがみ付いていると思うだけで。
(こんな状況なのに、
可愛いと思うなんて
俺、相当イカれてるよね。
大丈夫。絶対に護るよ…)
どこか冷静に考えながら
ユーリはサラの頭を抱き直し
崖の下を流れている川に落ちた。