イケメン王宮◆ユーリ×プリンセスの物語【R18あり】
第32章 【禁断の果実】~第9章 秘する~
サラが不安げに首を傾げて、
ユーリを見上げる。
「……そうだよ。
俺は、シュタインの第二王子。
ウィスタリアを手に入れる為に
スパイとして城に入ったんだ」
その言葉に、サラの目が丸くなる。
(ごめん、サラ様。
絶対に助けるから)
そう思いながら、追っ手を欺くため、
なるべく酷い言葉を選ぶ。
「穏便にウィスタリアを手に入れたくて
サラ様に近づいたんだ。」
(嘘だよ。
好きだから、執事にかこつけて、
必要以上に近づいたんだ)
「でもサラ様、
全然俺の思い通りにならなくて。
本当にうっとうしかった。」
(そう。
サラ様は、いつも思い通りじゃない。
想像を超えて…
俺の心を捕える。
そこが、この上なく愛おしかった)
「でも、もういいや。
別の方法でウィスタリアを手に入れるから」
(ウィスタリアも、サラ様も、
絶対に護って見せる)
目の前でサラの顔色がどんどん変わり
震えて、涙を耐えているのが分かる。
『そんな……うそ、
うそだよ。
ユーリは優しい人だもの。
誰かを傷つけてまで
国を手に入れたいなんて、
思うはずない…っ!』
(……サラ様…
こんなにひどい事を言っているのに
俺を…優しいだなんて。
俺を信じようとするなんて。
ばかだな。
本当に、サラ様は…ばかだよ)
今にも抱き締めたい衝動に駆られながら、
ユーリはサラに背を向けた。