イケメン王宮◆ユーリ×プリンセスの物語【R18あり】
第32章 【禁断の果実】~第9章 秘する~
(あそこか)
ユーリは馬を乗り捨てて、
道なき山道を追った。
そして……
(……見つけた)
サラが、
荒れた服装の男に手を引かれている姿が見えた。
途端。
全身の毛が逆立つ程の怒りを覚える。
ユーリは短剣を抜くと、
疾風の如き速さで、男に近づいた。
そして、身をかがめ、懐に潜り込む。
ドスッ…!
たった一撃。
「汚い手で、サラ様に触るな」
腹を抑えて倒れゆく男を
蔑んだ目で見ながら
ユーリは低く、小さく唸った。
『ユー……リ…?どうして…』
信じられないという顔で
ユーリを見詰めるサラ。
こんな状況なのに、愛らしいその表情…
久しぶりに自分を見詰める真っ直ぐな瞳に
ユーリの心は乱されそうになる。
(……サラ様)
ユーリは、サラの手をそっと取る。
(良かった。
どこも怪我してないみたい)
「走れる?」
『え、うん』
追っ手の気配をいち早く感じ、
ユーリはサラを連れて、走り始めた。