• テキストサイズ

イケメン王宮◆ユーリ×プリンセスの物語【R18あり】

第31章 【禁断の果実】~第8章 秘める~


『ユーリ…!』


サラは、肌が見えてしまわないよう
毛布の端を握った。


「痛いとこ、ない?」


『う、うん』


「そう……
サラ様って、悪運強いよね」


ユーリは、
ほんの少し口角を持ち上げる。


[そうだ。
私、連れ去られそうになって
ユーリに……]


ゆっくりと思い出してくる。


ユーリが一緒に逃げてくれた事。


崖に追い詰められた事。


ユーリが、
「王子」と呼ばれた事。


ユーリが、裏切っていた事。


そして


ユーリに抱き締められて


崖から飛び降りて…


川に落ちて…



…………。




サラは、ユーリをまっすぐ見つめた。


『ありがとう、助けてくれて』


「………別に。
目の前で殺されたら、
後味悪いと、思っただけだから」


[ほら、やっぱり、助けてくれた。
貴方が何者でも、
何が目的でも……
私は、目の前にいるユーリを信じたい]


『やっぱり……ユーリは優しい』


サラは、この上なく嬉しそうに笑った。


ユーリは、心底嫌そうに、眉根を寄せる。


「やっぱり…サラ様は、おめでたいね。
あんな目に合ったのに…
俺を“優しい”だなんて…
おめでた過ぎて……イライラ、する。
あのまま、
川辺に…棄てて……来れば…
良かっ……た……」


ユーリは、そう言葉を零したあと


ずるり……と


壁を伝って、床に崩れ落ちた。




/ 268ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp