イケメン王宮◆ユーリ×プリンセスの物語【R18あり】
第31章 【禁断の果実】~第8章 秘める~
『ユーリ…!』
サラは、肌が見えてしまわないよう
毛布の端を握った。
「痛いとこ、ない?」
『う、うん』
「そう……
サラ様って、悪運強いよね」
ユーリは、
ほんの少し口角を持ち上げる。
[そうだ。
私、連れ去られそうになって
ユーリに……]
ゆっくりと思い出してくる。
ユーリが一緒に逃げてくれた事。
崖に追い詰められた事。
ユーリが、
「王子」と呼ばれた事。
ユーリが、裏切っていた事。
そして
ユーリに抱き締められて
崖から飛び降りて…
川に落ちて…
…………。
サラは、ユーリをまっすぐ見つめた。
『ありがとう、助けてくれて』
「………別に。
目の前で殺されたら、
後味悪いと、思っただけだから」
[ほら、やっぱり、助けてくれた。
貴方が何者でも、
何が目的でも……
私は、目の前にいるユーリを信じたい]
『やっぱり……ユーリは優しい』
サラは、この上なく嬉しそうに笑った。
ユーリは、心底嫌そうに、眉根を寄せる。
「やっぱり…サラ様は、おめでたいね。
あんな目に合ったのに…
俺を“優しい”だなんて…
おめでた過ぎて……イライラ、する。
あのまま、
川辺に…棄てて……来れば…
良かっ……た……」
ユーリは、そう言葉を零したあと
ずるり……と
壁を伝って、床に崩れ落ちた。