イケメン王宮◆ユーリ×プリンセスの物語【R18あり】
第31章 【禁断の果実】~第8章 秘める~
ぱち、ぱち、ぱち…
『ん……』
サラは小さく声を零すと
ゆっくりと、瞼を持ち上げた。
[ここは…?]
仄暗い部屋の中。
暖炉が、ぱちぱち、と音を立て
部屋を赤く照らしている。
外は、激しい雨と、吹きずさむ風。
窓がガタガタ鳴り、
時折、扉が軋んだ。
[山小屋……?]
ゆっくりと起き上がると
身体を包んでいた暖かな毛布が
肩から滑り落ちた。
[っ……私、何も着てない…?]
慌てて毛布を合わせながら考える。
[私、どうしたんだっけ…?]
ツキン…
[っ……]
いつもの頭痛が、サラを襲った時、
聞き覚えのある声が聞こえた。
「目、覚めた?」
[…この声]
振り返ると……
少し離れた部屋の隅、
壁に、もたれ掛るように
ユーリが座っていた。