イケメン王宮◆ユーリ×プリンセスの物語【R18あり】
第30章 【禁断の果実】~第7章 堕ちる~
次の瞬間。
追っ手の一人が剣を構え、
サラ目掛けて突進した。
逃げなければと思うのに、
サラの足は、すくんで動かない。
まるでお芝居のワンシーンの様に
全てがスローモーションに見える。
[……
殺される……
ごめんなさい、みんな。
私、プリンセスとして
責任を果たせなかった……]
サラは、妙に冷静に覚悟をし、
ぎゅっと、睫を伏せた。
ザシュッ……
切り裂かれた音がして
サラの頬に、
生温い何かが飛び散った。
『っ……』
頬に指先で触れると
べっとりと赤いものが付いている。
『…………』
この匂いは、血……。
雨に濡れる指先から、
血がしたたっていく。
声が出ない。
斬られたのだ。
[………あれ?]
でも、どこも、痛くない…。
ゆっくりと視線を上げると…
腕を抑えたユーリが
サラの前に立っていた。