イケメン王宮◆ユーリ×プリンセスの物語【R18あり】
第30章 【禁断の果実】~第7章 堕ちる~
[うそ…]
「王子…!
あなたは、ご自分のお立場を…!」
白髪の男の荒げられた声が
どこか遠くに感じる。
『ユーリっ!!どうして…!?』
[まさか、私を庇って?]
サラは思わず、
傷口に触れようとする。
と
ユーリが倒れ込むように
サラを抱きしめた。
『っ……ユーリ、…っ!』
困惑するサラを
ユーリは痛い程強い力で抱きすくめる。
「サラ様……ごめん」
『え?』
ユーリの香りが、
サラを包んだと思った瞬間。
ユーリは、サラを抱いたまま、
タンっ……と
地面を蹴って
崖の下、谷間へと
身を投げた。
「っ…!王子!」
抱かれた1つの影が
まっすぐに谷底へと落ちて行く。
やがて小さく水が跳ねる音がして。
二人の姿は闇に消えた。
まさかの行動に
追っ手たちは騒然となる。
強い風と激しい雨が
谷間を低く唸らせていた。
【禁断の果実】
~第7章 堕ちる~
End
2016年7月27日