イケメン王宮◆ユーリ×プリンセスの物語【R18あり】
第30章 【禁断の果実】~第7章 堕ちる~
強い風と共に、雨が吹き込む。
「ウィスタリアのプリンセスだな?」
荒れた服装の大柄な男が
ドスの効いた声で言った。
『貴方は…?』
震えそうになりながら、サラは男を見据える。
「後でじっくり教えてやる。来い。」
男はサラの腕を掴み
馬車から引きずり出そうとした。
『っ……名乗って頂けない方に、
ついて行く訳にはいきません』
サラは男の腕を振り払い、
毅然と居住まいを正した。
その姿は、
プリンセスに相応しい品格を纏っている。
「なるほどな。
噂通り、随分しっかりしたお姫様だ。
国民の支持を集めるのも頷ける。
だが」
男は今度は逃げられないよう、
痛いほどの力でサラの腕を取った。
「お前に拒否権はない」
『っ……離してっ、離して下さいっ』
再び振り切ろうとするが、
先程より強い力で引かれ
サラは呆気なく外に連れ出された。