イケメン王宮◆ユーリ×プリンセスの物語【R18あり】
第29章 【禁断の果実】~第6章 瞑る~
ユーリは琥珀色の目を見開いた。
(なに………?
なんて言ったの……?
婚……約……うそ…)
ユーリの目の前が真っ暗になり
全身がどくん、どくん、と脈打つ。
うつむいたままのサラは
ユーリの表情に気付かず、続ける。
『準備が整ったら
宣言式もする。
だから……その…もう、
触れないでほしい、の…』
頬を染めて、
言いにくそうに小さく零したサラ。
恥ずかし気な様子が
たまらなく愛らしくて。
自分ではない、他の男の為に
こんな表情をしているのかと思うと
ユーリの思考はぐちゃぐちゃになった。
(サラ様が、
アラン様と婚約?
好きだから?
愛しているから?
婚約?
コンヤク?
なにそれ。
嫌だ、
嫌だ、
嫌だ。
気が……狂いそう……)
黒い感情が、
ユーリの心を支配する。
だが、サラに悟られるより早く
ユーリは、それを無理矢理押し殺した。
だって、予想していた事だから。
そうなるように
自分から、仕向けた事だから。
(計画…通りだ…
俺って、ホント……
優秀過ぎて、悲しくなる)
ユーリは自嘲するように笑うと
「……そっか。
じゃあ、こうやって触れるのも
今日が最後だね」
そう言った。
(あれ?俺、何言ってるんだろう…)
搔き乱された心は、
そう簡単に治まらない。
底の知れない感情が溢れてくる。
止められない。
がたん!
気付くと
ユーリは、ソファーの上にサラを押し倒し
細い手首を座面に縫い止めて、
覆いかぶさっていた。