イケメン王宮◆ユーリ×プリンセスの物語【R18あり】
第29章 【禁断の果実】~第6章 瞑る~
『……ごめんなさい。
明日から、夜のティータイムは、
来なくていいから…』
小さく掠れた声で零すと、
ユーリが言葉尻をとらえた。
「それは出来ないよ」
ユーリは、強引にサラの手を取って
口許に引き寄せる。
『ユー……っ』
「だって、俺は
サラ様の執事なんだから」
琥珀の大きな瞳で、サラを見据えたまま
手の甲にキスをするユーリ。
ちゅっ…と濡れた音がした。
『……っ…』
サラは、咄嗟に手を引っ込める。
ユーリは可笑しそうに口許を弛めて。
「おやすみなさい、プリンセス。
また明日」
嘲笑うような笑みを浮かべてから
部屋を出て行った。
ぱたん…。
静かに扉が閉る。
サラは静寂の部屋に独り佇んだまま。
[何故、こうなってしまったんだろう…
私はただ、ユーリを好きなだけだったのに]
ツキン…
[頭が…痛い……]
考えると、頭が痛くなる。
やがてサラは、
重い心を引きずって
ベッドに潜り込み
堕ちるように眠る。
そして
また、あの夢を見るのだった。
あれ以来、毎晩のように見る
残酷で
哀しいほど幸せなあの夢を…。
「……サラ様…好きだよ」
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